第1章:「政治って、話しちゃいけないの?」
「友達と政治について話したりする事ないの?」軽い気持ちで尋ねたこの問いへの「全くない。変な目で見られるから」という返答。この個人的な体験は、日本社会に深く根ざす大きな問いへと繋がります。民主主義社会であるはずのこの国で、なぜ政治を語ることはタブー視されるのでしょうか。本インフォグラフィックでは、その「見えない構造」をデータと図解で紐解きます。
第2章: 語らない若者たち ─「関心はある、でも話せない」の正体
若者の政治的会話の頻度
家族や友人とでさえ、政治の話は避けられる傾向が顕著です。
友人との会話
家族との会話
若者の投票率の低迷
若者の声は、選挙で十分に反映されているとは言えません。
心理的要因:沈黙の螺旋
少数派だと感じると...
↓
孤立を恐れて沈黙する
多数派だと感じると...
↓
自信を持って発言する
結果...
🔄
沈黙が沈黙を呼ぶ
悪循環が生まれる
第3章: 語らせない構造 ─「報道の自由」は本当にあるのか?
世界報道自由度ランキング (2021年)
67位
/ 180カ国中
G7諸国中最下位
政権によるメディアへの圧力
2014年 放送法解釈変更問題
安倍政権の補佐官が総務省に圧力をかけ、一つの番組でも「政治的に公平」でないと判断できる、と解釈を変更させようとしたことが発覚。
2016年 高市総務相「電波停止」発言
高市早苗総務相(当時)が国会で「放送法違反があれば電波停止もあり得る」と発言。メディアに対するあからさまな牽制として大きな批判を浴びた。
第4章: 閉ざされたメディア ─ “記者クラブ”と“スポンサー”の重力場
記者クラブ制度の閉鎖性
政府・官庁
↓
記者クラブ (大手メディア限定)
情報提供と引き換えに馴れ合い・忖度が生まれる
↓
国民
フリーランス・海外メディアは排除
スポンサー依存による自主検閲
スポンサー企業
¥↓
商業メディア
広告収入のため、スポンサーに不都合な報道を自粛
↓
国民
企業不祥事や五輪汚職などが報じられにくい
第5章: 公共放送NHK ─ 中立か、権力の“伝書鳩”か
「政府が『右』と言っているものを、我々が『左』と言うわけにはいかない」─ 籾井勝人 元NHK会長 (2014年就任会見)
政権による人事介入の構造
国会 (与党が多数)
↓ (同意人事)
経営委員会
(政権と思想が近い人物が任命される懸念)
↓ (任命)
NHK会長
↓ (影響)
報道内容
(安保法制や森友・加計問題で政権寄りの報道姿勢が批判された)
第6章: 沈黙の共犯関係 ─ 相互作用が生む「政治忌避社会」
若者の「語らない」心理と、メディアの「語らせない」構造は、互いに影響し合い、負のループを形成しています。これが、民主主義の危機の本質である「関心の無力感」を生み出すのです。
1. メディアの不全
権力監視の役割を果たさず、忖度や自主規制を行う
→
2. 若者の諦め
「どうせ変わらない」という政治的無力感を学習する
↑
↓
4. 社会的圧力の不在
世論の盛り上がりを欠き、メディアは変わる必要がなくなる
←
3. 若者の沈黙
同調圧力や炎上リスクを恐れ、政治参加や発言を控える
第7章: 終章|声を上げることの意味と、最初の一歩
沈黙の構造を断ち切る鍵は、私たち一人ひとりの小さな行動にあります。沈黙を破ることは勇気であり、他者を信頼する選択です。日常の小さな対話の積み重ねこそが、「政治の話をしてもいい社会」をつくるのです。
あなたは、何を語り、何を語らずにいますか?